2012年3月17日土曜日

府営堺戎島住宅

大阪府堺市堺区戎島
ツインコリダー数: 1棟(住棟番号表記上は2棟)
形状区分: スキップフロアツインコリダー / 両面ピット / 住棟番号スプリット型
供給区分: 府営
築年代: 昭和47~48年
撮影: 2009年11月



なかなかの面構えであります。
こういう景観、昔は嫌いだったのだけど、今は好き。
縦横無尽に張り巡らされた電線も、デザインに見えてくる不思議。

このツイコリの最大の特徴は、

スキップフロアであるッ!

ってことですね。
パッと見、そうは見えないですが、まあそこは追々。

あ、戎島の読み方は「えびすじま」です。はい。




↑コーナーに、石碑と説明板がもっともらしく設置されています。
いや、もっともらしくも何も、ガチですよね。

説明板によると、この団地は、戎島紡績所という日本で2番目に早く作られた綿糸工場の跡地に建てられたそうで。
で、明治天皇もここに立ち寄ったと。
何があったかをこういう形で残すのは良いことですね。

スカスカな由緒の説明ですみません。
ここ、そういうブログじゃないもので。。(なら書くなよ)


さて、いつも通り、住棟の妻側から見ていきましょう。



 

↑府営らしいストイックさを醸してますね。
しかし、ピット部分の開口部が、歯抜けみたいになっていて特徴的な造形です。

廊下が各階になくて、飛ばし飛ばしにある・・・つまりスキップフロアであることが見てとれます。

あと、住棟番号が左右で違いますよね。
ときどきあるパターンですが、僕はこれを「住棟番号スプリット型」と呼んでいます。
いや、今考えたんじゃないですよ、決して。

では、ピットの正規アングルも見てみましょう。




↑タイルの一片に至るまで、全てが四角。
この同じディテイルの連続性は、いつ見ても魅力的。

では、吹き抜け内部を見てみましょう。



↑このときは改修工事中だったけど、かっこいいですよね。
開口部が出っ張っていて、窓はちょっと凹んでいて、変化に富んだ立面。
スキップフロアのツインコリダーでしか見られない造形。




↑ちょっと上から覗いてみた。
何をしようとしたらこうなるんだと疑問に思ったけれど、ザ・工事という雰囲気はすてき。
というか、工事してるすぐそばの住戸とか、騒音やら粉塵やら大丈夫だろうか。。




↑吹き抜け正規のアングルもこの通り。何てかっこいいんだ。。。




↑これはすげー。
廊下がスキップしているから、各階の通路がよく見えて何とも言えないグッとくる空間構成に。
コンクリートの侘びた質感もさることながら、自転車がまた人の気配を感じさせて良いですね。




↑通路から階段で住戸にアクセス。
階段で上階には登れない仕組みなので、変則的な階段室型で、複雑な構造になってます。

僕が知る限りでは、大阪府営のツインコリダーにしか、このスキップフロアツイコリは見られないです。



↑真新しいエレベーター。
土台となるプレートがなくて、直接ステンレス壁にボタンが埋め込まれてるのはレアかも。
最近のHITACHI製に似ているけど、その点が違う。。




↑東芝製でした。
新しいながらも、なかなかストイックなデザインで、ちょっと好きです。




↑吹き抜けを横断する通路。
何というか、基地みたいでかっこいい。
このそこはかとなく醸されるかっこよさを上手く説明できないのが、もどかしい!
コンクリートに萌える人なら分かるはず。
いや、たぶん分かるはず。
ひょっとしたら、共感してもらえるんじゃないかな。
ちょっと自信なくなってきたけれども。



↑ものものしい内容の貼り紙だけど、デザインは結構凝ってます。

枠の模様に感じられる拘りとか、自治会ロゴとかサブタイトルにグラデーションが掛かってたり。

さらに、遮光器土偶の顔があしらってあるのは、古墳が多い堺だからなのか。
自治会も土偶を推してくるぐらい、古墳に思い入れがあるのか。
とりあえず、遮光器土偶に拉致られて宇宙に連行されかねないので、非常識な行為はやめましょう。

って、ここまで書いて気づいたのだけど、

遮光器土偶は縄文時代じゃね?(どーん)
古墳と関係なくね?

これで僕的には全くカオスになったわけで。
一応軽く調べた感じでは、付近に縄文遺跡はないっぽいです。
ましてや遮光器土偶が出土したのは東北がメインだったはず。。

埴輪と混同しているような気がしてならないけど、まさかそんなことはないでしょう。
まさかね。ええ、まさか。




↑エレベータホールの開口部から、クレーンがドアップで。
何事!?やだ、かっこいい。。



↑どうやら、外でも工事をやっていたようで。。

それにしても、クレーンとツイコリ、何かこう男子の心を揺さぶるものがありますね。


というわけで、魅力満載スキップフロアツイコリを擁する府営堺戎島住宅でした。

以上。



2 件のコメント:

  1. こんにちは、みしざわです。

    スキップフロアのツイコリなんて珍しいですねえ。
    吹き抜けがやたら開放的で怖いくらいですね。

    エレベーター停止階は、1階・・・4階・・・6階?、8階?、偶数階?
    4階以上は3フロアずつではないところも、何か他のスキップフロアにはないポリシーが感じられますね。

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  2. みしざわさん、コメントありがとうございます。

    スキップフロアのツイコリは珍しいです。僕が把握している限りでは、大阪府営の岸辺第一住宅と南別府住宅、百舌鳥梅町住宅、そしてこの堺戎島住宅の4ヶ所のみです。
    廊下が抜けている分、吹き抜けが開放的ですが、それに加えて、廊下の柵が鉄パイプ製で歩いていて足元から外が透けて見えるので、高所が苦手な人には怖いかもしれません。

    エレベータ停止階からは、上下の階に階段でアクセスするようになっています。
    のですが、どの階からどの階に階段でアクセスするのか、正確な情報は忘れてしまいました。
    階段で上階や下階に行けないパターンがあって、複雑なプランになっていると思います。

    いずれ、調査しに行きたいと思っています。
    たしかに、大阪府営のポリシーが感じられます。

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